慶良間ブルーと波音と

 

沖縄で親戚の結婚式があり、その帰りに渡嘉敷島へ寄った。

 

以前、沖縄の那覇に住んでいたとき、名所旧跡をふくめ、観光客がおとずれるようなところはおおむね見て回ってしまっていた。そのため、せっかく那覇に滞在していても、桜坂劇場に併設された喫茶店で珈琲を飲んだり、奥羽山公園をランニングしたり、あるいは栄町の飲み屋街をぶらぶらしたりと都内にいるときとあまり変わらない過ごす方をしてしまう。

 

だからといって、飽きてしまうといったことはまったくなく、何度沖縄におとずれても新たな発見があり、またここに住んでみたいと思わせてくれる。とりわけその思いを強くするのは、やはり沖縄独特の海の青さを見たときかもしれない。

 

 

 

この日、少し早起きして、離島便が発着しているフェリーターミナルの「とまりん」にむかった。とまりんからは、いくつかの離島へ行けるが、今回は時間の関係で渡嘉敷島行きの「フェリーとかしき」往復チケットを購入した。高速船ではないため、のんびり一時間少々の船旅だが、旅情に浸るにはむしろそのぐらいがちょうどいい。

 

甲板のベンチに腰かけ、ずっと海をながめていた。

 

 

 

海風はやや肌寒く感じるものの、強い陽射しが照りつけているため、気にならないどころか、かえって気持ちいいぐらいだった。

 

甲板の上に人影はまばらで、皆、思い思いに船の港着を待っている。この場限りの見知らぬ他人同士なはずなのに、なんとなく思いをひとつにしている感じがしてよかった。

 

途中、船から少し離れた海原で鯨の子供がしぶきをあげ、それからほどなくして船は汽笛をあげながら渡嘉敷島に入港した。

 

前回島に宿泊したときは島内をバイクで一周したりしたが、今回は滞在時間が限られているため、港の反対側にある阿波連ビーチまでバスに揺られ、そこでのんびり過ごすことにした。

 

真っ白なビーチに出ると、目の覚めるような慶良間ブルーの海がひろがっていた。直線的な陽射しが海面に照りつけ、まばゆく反射している。砂防林の樹木がつくった影の下に腰かけ、行きのとまりんで買った蒲鉾をつまみにオリオンビールの缶を開けた。

 

 

ここから少し離れたビーチには何組もの海水客の姿があり、日光浴をしたり、遊泳エリアで泳いだりしている。ひとの声はこちらまでとどかず、波音しか聞こえてこない。

 

 

海をながめながらビールを呑みほすと、あとはスニーカーを枕にしてバスの時間まで横になっていた。スマートフォンも読みかけの文庫本もホテルに置いてきた。

 

目をつむり、日常の雑事を忘れ、ただ波音だけを聞いていた。