『サーラレーオ』

ひょんなことから手に入れた大量の大麻の種子。落ちぶれた男にとって、それはギフトかトラップか? 『狭小邸宅』著者による、圧倒的悪漢小説(ピカレスク・ロマン)!
日本人のカセは、バンコクでケチな西洋人に大麻を売って生計を立てている。恋人は浪費家のホステス。観光客を脅して小遣いをせびる強盗まがいの行為も慣れっこだ。あるとき幼馴染から、タイに来ているので会いたいと連絡が入る。「こっちでもバリバリやってるの? 聞いたよ、六本木で豪遊してたって」ああ、そうさ。あそこでヘマをしなければ、おれをコケにしてきた奴らを全員見返してやれたのに――。
金もツキも度胸もない、逃げ足だけは速い究極のダメ男が、タイと日本を疾走する!

この小説には「最低最悪の奴(サーラレーオ)」しか登場しない。というか存在しない。いや、よく考えてみれば、おれたちの世界だってそうか。言ってやれ新庄耕。この世界に向かって。「くそったれ、サーラレーオ!」
――高橋源一郎氏